COLUMN

オフィスデザインで中小企業のブランディングはできる?差別化を生む空間とは

オフィスって、もっと「その会社らしく」ていいんじゃないかな。

企業ブランディングとオフィスデザインの話

どこかの会社に行って、「きれいなオフィスだな」「おしゃれな雰囲気だな」——「でも、なんだかよそと似たようなデザインだな」……と感じた経験はありませんか? この記事では、単なるデザインを超えた「企業ブランディングとしてのオフィスづくり」について、やさしくひもといていきます。

 

「ブランディングのためのオフィス」って、何が違うの?

オフィスをきれいにしたい、今っぽいデザインにしたい——そういう動機からオフィスのリニューアルを考えることは、自然なことです。でも、コストも時間もかかるリノベーションを、単なる内装工事で終わらせてはもったいない。
せっかくなら、「オフィスを企業化」したいと思いませんか。

オフィスの企業化
つまりその会社がどんな会社なのかを、オフィスという空間で表現するということです。

【私たちの定義】 会社の理念、大切にしている価値観、サービスへのこだわり、社会に提供したい価値——そういった「その会社ならではのもの」を丁寧に掘り起こして、オフィスという空間に落とし込む。それが企業ブランディングを目的としたオフィスデザインです。

他社と「何が違うか」を、訪れた人が空間を通して感じられるようにすること。それが出発点になっています。

 

「おもしろいオフィス」って、どういう意味?

私たちはこのアプローチを「おもしろいオフィスデザイン」と呼んでいます。でも、この「おもしろい」ってちょっと説明が必要かもしれません。

ここでの「おもしろい」は、英語の interesting——つまり「関心を引く、その会社ならではだ」という意味のおもしろさです。奇抜であることや笑えることではありません。

この言葉を使うようになったのには、理由があります。お客様とデザインを練り上げていく中で、何度もこんな声に出会ってきたからです。

 「A案もB案も悪くないんですけど……なんか、おもしろくないんですよね」

この「おもしろくない」という言葉には、実は、こんなニュアンスが込められていたんです。

  • うちじゃなくてもできそうなデザインだな
  • 他の会社と変わらないかも
  • わざわざ私たちがやる意味、あるのかな

つまり「おもしろくない」は、「差別化できていない」という言葉の言い換えでした。だから私たちは、その会社だけが持つ「おもしろさ」をオフィスで表現することを目指しています。

「おもしろくない」というのは、 「うちらしくない」ということだった。

 

常識を飛び越える、でも飛び越えすぎない

「おもしろいオフィス」をつくるには、業界の当たり前——つまり「常識」を少し超えていく発想が必要になります。どんな業界にも「こうするものだよね」という暗黙のルールがあって、その枠の中だけで考えていると、どうしても似たようなアイデアになりがちです。

ただ、「常識を超えればいい」というわけでもないんですよね。たとえばオフィスに突然、何の脈絡もない巨大なロボットを置いたとしても、それは「奇をてらった」だけで、会社のことを伝えてくれるわけではない。

【たとえばこんなケース】 オフィスにキッチンを設ける、社内の一角をミュージアムのような空間にする——こういったアイデアは、「ちょっと常識外れかも」と思いながらも、その会社の文化や理念とちゃんと繋がっているから意味を持ちます。


※上記は弊社がオフィスデザインさせていただいた事例になります。オフィス内にお子様向けのお仕事ミュージアム(兼会議室)をつくりました。

大事なのは、「どのくらい飛び越えるか」という距離感です。飛びすぎると文脈を失い、飛ばなさすぎると「おもしろいオフィス」じゃない。この絶妙なバランスを見極めるのが、私たちのいちばんの腕の見せどころだと思っています。

 

今の時代に「ファンをつくるオフィスデザイン」が必要なわけ

そもそも、机と椅子があって冷暖房が効いていれば仕事はできます。立地がよければ人も来てくれる。だとしたら、なんでわざわざ独自の世界観をオフィスに持たせる必要があるんでしょうか?

それは、私たちが生きる時代が変わったからだと思っています。高度成長期のように「新しいものを出せば売れる」という時代はもう終わりました。いまはどの業界も、サービスも商品も飽和している。良いものを作るだけでは、選んでもらえないんですよね。

飲食店に置き換えると、すごくわかりやすいと思います。おいしい料理は当然の前提で、居心地のよい空間、その店らしい世界観——そういったものが揃ってはじめて「また来たい」「友達を連れてきたい」と思ってもらえる。企業も同じことが起きています。

【キーワード:ファンをつくる】 ディズニーランドが世代を超えて愛されるのは、圧倒的な世界観を徹底して維持しているからですよね。企業も、オフィスという空間をファンづくりの起点にしていく時代がきているのかもしれません。

採用の場面でも同じことが言えます。会社に一度足を運んだ求職者が「ここで働きたい」と感じるかどうか——そのひとつの体験が、5年、10年のスパンで会社の組織に影響してくることがあります。

 

中小企業こそ、世界観のある空間が強みになる

大企業に比べると資本力も小さく、製品やサービスでの差別化も難しい——そんな中小企業にとって、「どんな会社なのか」をどうやって伝えるかは、これからますます重要になってきます。

引き続き人口減少が見込まれる日本。人口が減り続けるということは、企業にとっては人材も消費者も減り続けるということです。オフィスを訪れた求職者や顧客に「なんかここ、いいな」と感じてもらえるかどうかが、じわじわと効いてくる。

そのとき有利なのは、どちらでしょうか。
どこにでもあるおしゃれな空間。それとも、その会社が大事にしていること、他にはない考え方が詰まったオフィス。

取ってつけたデザインではなく、「この会社にしかない空間だな」と感じてもらえるオフィス。それが、顧客を増やし、ファンをつくっていくいちばんの近道だと、私たちは考えています。

 

オフィスは、その会社の「らしさ」を語れる場所です。

あなたの会社だけが持っているものを、空間という形で表現できたら——きっと、そこから新しい出会いが生まれていきます。