企業の「本領」を呼び覚ます、経営戦略としてのオフィスデザインとは?
オフィスは「見た目」を整える場所か、それとも「正体」を語る場所か
オフィスのデザインを提案すると、こんな言葉をいただくことがあります。 『うちは地元の会社だし、年齢層も高いから、そこまでデザインに凝る必要はないんですよ』 『かっこよくして、本当に採用に効果があるの?』
こうした声を聞くたびに、私は少しもったいないなと感じてしまいます。なぜなら、オフィスデザインを単なる『ビジュアルの装飾』として捉えてしまうのは、その空間が持つ本当の価値——「真価」を見過ごしてしまうからです。
私たちは、オフィスを単なる作業場ではなく、企業の「本領」を発揮するための舞台だと考えています。
リアルな空間が放つ「圧倒的な情報量」
想像してみてください。海外の空港に降り立ったとき、床にゴミが散乱していたら、あなたはその国に対してどんな印象を持つでしょうか? 逆に、隅々まで手入れが行き届き、その土地の文化が香る空間だったら?
私たちは言葉を交わす前に、空間から膨大な情報を読み取っています。 デジタル化が進み、オンラインで仕事が完結する今だからこそ、この「リアルな空間」の重要性は増しています。オフィスという実在する場所は、企業の考え方や誠実さを、嘘偽りなく物語ってしまう装置なのです。
オフィスが満たすべき「3つの欲求」
私たちが提案するデザインには、3つのステップがあります。
- 「綺麗にする」:不衛生を解消し、働く人の気分を整える(衛生の欲求)
- 「今っぽくする」:時代に即した機能を取り入れ、現役感を示す(時代の欲求)
- 「違いを表現する」:他社との違いを可視化し、独自性を示す(ブランディングの欲求)
「2」までは、いわば標準装備です。しかし、私たちが最も大切にしているのは「3」の段階。ここで初めて、その企業にしか出せない「本領」が形になります。
「作業場」から「帰属意識を育む場所」へ
コロナ禍を経て、オフィスの役割は劇的に変わりました。 「住所さえあればいい、あとはオンラインで」という考え方もありますが、それでは組織はただの個人の集まりになってしまいます。
これからのオフィスは、社風や企業理念を育てる場所です。 全員が毎日そこで作業しなくてもいい。でも、集まったときに「自分はここに帰属しているんだ」と実感できる。そんな場所があるからこそ、チームとしての力が最大化されます。
もちろん、これにはコストがかかります。しかし、それを単なる「出費」と考えるのはもったいない。 ホームページやパンフレットで「うちは独自性がある」と謳っても、受け手は「本当かな?」と疑うものです。でも、オフィスを訪れ、その空間の熱量に触れたとき、その疑念は確信に変わります。リアルが存在してこそ、デジタルの発信は初めて本物になるのです。
ステークホルダーへの最高の意思表明
オフィスデザインに投資することは、採用候補者、社員、お客様、そして地域住民の方々に対し、「私たちはこういう価値観で、ここを目指している」と正々堂々と宣言することです。
「デザインなんて必要ない」と蓋をしてしまうのは、自社の個性を隠してしまうこと。 私たちが形にしたいのは、単に綺麗なオフィスではありません。
訪れた人が「この会社は他とは違う」と直感し、働く人が誇りを持てる場所。 そんな企業の「真価」を証明する空間を、私たちは皆さんと共に創り上げていきたいと考えています。
