INTERVIEW
CONTENTS
お客様に聞いてみた!
Vol.1
社屋は“家”で、社員は“家族”
社内外から人が集まる
「リビング」のあるオフィス
- お客様/松井佑介(株式会社コンピュータ技研 代表)
- ディレクター/越智ゆみ(株式会社KATATI)
- 設計士/小栗高志(OGURI DESIGN OFFICE.)

- ビル1棟まるごとリノベーションプロジェクト
- ●クライアント名/株式会社コンピュータ技研(https://www.kkctl.co.jp)
- ●クライアント業種/ソフトウェア開発、アプリ開発、インフラ構築など
- ●リノベーション内容/オフィス移転
- ●所在地/大阪市都島区
- ●改装範囲/1階から5階までの内装部分、ファザード、外装
- ●面積/1階70.6㎡ 2階70.6㎡ 3階70.6㎡ 4階70.6㎡ 5階25.8㎡
- ●株式会社KATATIの担当/コンセプトメイキング/ブランディングデザイン/進行管理、ディレクション/外装デザイン・設計/内装デザイン・設計/サインデザイン/イラスト制作
INDEX
現場で働く社員も立ち寄りたくなる
マイホームのようなオフィス空間
今回のクライアントは、ソフトウェア開発をはじめとするシステムインテグレーション事業を展開する企業です。以前は大阪市中央区のオフィスビルに大阪本社を構えていたものの、コロナ禍で出社する社員が激減。そこで都島区にあるビルを借り上げ、5フロアすべてをリノベーションすることになりました。KATATIは、不動産探しからコンセプトの設定、空間のゾーニング、デザインまで担当。新社屋のプランニングの舞台裏や施工後の使用感について、施主の松井佑介さんとKATATIの越智ゆみ、設計士の小栗高志さんの3名が語り合いました。

左から、KATATIの越智ゆみ、コンピュータ技研代表の松井佑介さん、設計士の小栗高志さん。
オフィスデザイン会社選定の決め手は
「前のめりな姿勢」

松井さんがオフィスを移転しようと思ったのは、コロナ禍で出社する人が極端に少なくなったからだそうですね。

おっしゃるとおりです。以前は本町のオフィス街に広いオフィスを構えていましたが、使う人が少なくなったので、単純にもったいないな、と。それならシェアオフィスを借りて、使いたい人だけ使うスタイルにしようかと、いくつか候補のオフィスを見に行ったんです。
けれども、どれもピンとこなかった。オフィスを見学しているうちに、実際にはコストがそれほど抑えられないとわかったのに加え、当時は多くの会社がうちと同じようなことを考えはじめていたなかで、この流れに乗ってはいけない気がしたんですね。世の中の流れとは違う方向に舵を切りたくて、思い切ってオフィスを移転することにしました。



ビルを1棟借り上げ、1階から4階+屋上までを丸々リノベーション。屋上にはルーフトップガーデンのようなスペースを備えています。

旧社屋は、大きなオフィスビルの中のワンフロア的な空間だったのが、新オフィスはビルを一棟借り上げるかたちになりました。ビルを一棟借りするイメージは最初からあったのですか?

いつかコロナは終息するだろうから、そうなったときに、みんなに集まりたいと思ってもらえる場所をめざしたくて。「人が集まる場所」がコンセプトだとすると、路面に接してる空間のほうがいいよね、と。オフィスビルに入居するシステム屋よりも、1階にオフィスを構える“街のシステム屋”のような存在になりたかったんですね。それでビルの一棟借りも視野に入れ、不動産探しをはじめた感じです。

その不動産探しをはじめたあたりから、われわれKATATIが社屋移転プロジェクトに参加することになるわけですね。


そうですね。リノベーションをするならどの会社にお願いするか、10社くらい候補をリストアップして。みなさんにお声がけして、順番に打ち合わせをさせていただきました。初回の打ち合わせで「なんか違うな」と感じる会社もあれば、KATATIさんのように複数回打ち合わせをした会社もありました。

弊社のほかにもそんなにたくさん候補の会社があったとは……! 弊社を候補のひとつに挙げてくださったのはなぜですか?

オフィスを移転するにあたって、社内でワーキンググループをつくったんです。有志のメンバーを募ったところ、十数名が手を挙げてくれたので、メンバーたちと一緒に新オフィスのコンセプトを考えて。オフィスデザインを手がける会社についても、メンバーひとりにつき最低1〜2社候補を挙げてもらって、なぜその会社を選んだのかをプレゼンしてもらうようにしました。

なるほど、じゃあ弊社の場合、ずっと御社との窓口になってくれていた松井さんが候補として提案してくれたんですね。

そうですね。

複数の候補と打ち合わせをするなかで、初回で「違うな」と感じた会社は、どういうところが「違った」のでしょう。

もっとも重視したのはうちとの相性ですね。たとえば候補のひとつだったある大手のオフィスリノベ会社さんは、顧客のニーズに合わせた複数の立派なパッケージソリューションを持っていました。初回の打ち合わせにもビシッとしたスーツ姿の人が来てくれたのですが、うちの新社屋の提案をしてくれるというよりは、彼らの会社のパッケージソリューションを紹介するだけ。ショールームを見に行ったりはしたものの、「違うな」という感覚が拭えなかったです。
あとはその会社さんにかぎらず、メールのレスポンスの良さなんかも選定に影響したかもしれないですね。

ちなみに、最終的に弊社を選んでいただいた決め手は……?

ひとことで言うと、いちばん前のめりな姿勢を見せてくれたからです。社屋の移転プロジェクトを立ち上げて不動産を探しはじめたのはいいものの、どのメンバーも仕事の合間を縫っての物件探しになりましたし、そもそもどこをどう探せば良い物件の情報に出会えるのかもわからない。
そこでオフィスデザイン会社として候補に挙がっていた会社さんに「物件探しから手伝ってもらえませんか?」とお声がけしたところ、もっとも前のめりになって物件を探してくれたのがKATATIさんだった。


じつは、私たちとしても物件探しから関われるのは願ってもないことだったんです。あらかじめ決まった空間の内装を依頼いただくことが多いのですが、空間探しからご一緒できるほうが内装デザインの可能性が広がりますから。ただ、弊社も不動産探しに精通しているわけではないので、設計をお願いしようと決めていた小栗さんにも協力いただいて。

5〜6件くらいは内見に行きましたよね。


そうした姿勢を拝見し、KATATIさんや小栗さんならわれわれと一緒に苦労してくれそうだと感じて、最終的に決めました。ワーキンググループのメンバーからは、苦労しないために大手の会社さんに依頼したほうがいいんじゃないかという声も上がりましたが、この手のプロジェクトはどこに依頼しても何の問題もなく終わることなんてまずないですから。どうせなら一緒に苦労してくれる人たちを選ぼうと。

実際、汗だくになりながら内見をご一緒させていただきました。そしたら暑すぎて、社員さんのiPadが熱暴走してしまって(笑)。

スマホも危なかったですよね(笑)。
