オフィスのレイアウトとは? 会社らしさを育てる空間デザイン設計の考え方
前回の記事では、コンセプト設定についてお話ししました。私たちの場合、コンセプトが固まったら次に進むのが「ゾーニング(レイアウト)」の工程です。
私たちの流れ
コンセプトが決まったら、次にゾーニング(レイアウト)へ。平面図(上からの図)を使いながら、どこに何をどう配置するかを一緒に考えていきます。
ゾーニングとは、空間の配置・構成のこと。どこに何の部屋を置くか、どう動線をつくるか、実はオフィスの雰囲気や働き方を大きく左右する、とても重要な工程です。
今日は、そのゾーニング(レイアウト)という考え方について、私たちKATATIなりの視点でお話ししたいと思います。
ゾーニング(レイアウト)とは
「ゾーニング」——聞き慣れない言葉かもしれません。一言で言えば、空間の配置・構成のことです。
住まいに置き換えると、間取りのイメージが近いかと思います。リビングをどこに置くか、寝室は何部屋必要か、廊下はどう通すか。オフィスでいえば、ミーティングルームをどこに、どのくらいの広さで設けるか、作業スペースと来客スペースをどう分けるか——そういった「空間の設計図」のことです。
このゾーニングの工程、実はお客様の要望がいちばん具体的に出てくる場面でもあります。
「ミーティングスペースをもう少し広くしたい」
「いまは部屋が三つに分かれているけど、二つにまとめたい」
「リモート会議が多いから、音が漏れにくい個室がほしい」
こうした具体的な声の中に、実はその会社が大切にしていることや、これからどんな働き方をしたいのかなど、重要な情報が詰まっています。
そして、ここからが設計士さん・建築士さんの腕の見せどころです。お客様からいただいた要望——手書きのメモだったり、Excelで作った簡単な配置図だったり——をそのまま再現するのではなく、「こう使いたい」という意図だけをしっかり受け取って、空間のプロとして最適なかたちに落とし込んでいきます。
「邪魔だと思っていた柱を、むしろうまく使う」——そういう発想が出てくるのは、やはりプロに頼むからこそだと感じています。ゾーニング(レイアウト)の案を見せていただくたびに、「こんな考え方があるのか」と素直に感動することがあります。お客様も同じで、「こんなふうになるとは思わなかった」と言っていただける場面が、この工程ではいちばん多いかもしれません。
ただ、私たちが設計士さん・建築士さんと一緒に仕事をする中で、いつも意識していることがあります。それは、空間・建物としてのゾーニングに、もう一つの視点を加えること。次のセクションで、その話をさせてください。
私たちが必ず加える、「企業ブランディング」のためのゾーニング(レイアウト)
設計士さん・建築士さんが提案するゾーニング(レイアウト)は、お客様の要望を受けて、空間をいかに効率よく、働きやすく構成するか——という視点で組み立てられています。それはとても大切で、私たちもそこに全力で関わっています。
ただ、私たちはそこにプラスアルファで、必ず一つの提案を加えます。それが「庭」あるいは「縁側」と呼んでいる空間です。
庭・縁側というのは、概念としての言葉で、ミーティングルームでも、作業スペースでも、リモートブースでもない——何をする場所かを、あえて決めない空間のことです。目的を限定しない、ニュートラルな場所、とも言えるかもしれません。
【なぜ「庭」が必要か】
昭和・平成のオフィスは、突き詰めると「作業をする場所」でした。でも今は、パソコンさえあれば家でもカフェでも仕事ができる時代。それでもみんながオフィスに集まる意味を考えると、オフィスには「作業の場」とは別の役割が求められているのかもしれません。帰属意識を育む場所、社風や企業文化が自然と伝わる場所——そういう、会社の核となる空間として。
目的を定めない空間があると、人はそこにふっと集まります。雑談が生まれ、部署を超えた何気ない会話が生まれ、仕事の話がふとこぼれ出る。そういうコミュニケーションが積み重なって、社風になり、文化になり、帰属意識になっていくのかなと思っています。

※上記写真は弊社が実際に“オフィスの中にある庭”をイメージしてデザイン設計させていただいた空間になります。ゆっくり落ち着ける掘り炬燵の席になります。
私たちが「企業ブランディングを目的としたオフィスデザイン」と言うとき、その核にあるのはまさにここです。他社との違い、自社の独自性——それは効率重視の内装から生まれるのではなく、その会社の社風や文化が育まれる場所から生まれると思っているので。
「そんな余裕のある広さ、うちにはない」と思われる方もいるかもしれません。でも、庭は広さじゃないと思っているんです。階段の下のわずかなスペースに、ちょっとしたカフェテリア的な空間をつくる。それだけで、社員の方が「ここで少し休もう」「ここで話そう」と自然に立ち寄れる場所になる。広さよりも、そこに行く理由が生まれるかどうかの方が、ずっと大事だと感じています。
※上記写真は実際に弊社が、階段の下のわずかなスペースに“オフィスの中にある庭”をイメージしてデザイン設計させていただいた空間になります。執務室と差別化するために、ソファと丸テーブル採用した席になります。
だから私たちは、スペースに余裕がないときでも、この提案を外しません。それが、設計士さん・建築士さんとは異なる、企業ブランディングの視点を持ったゾーニング(レイアウト)の提案だと思っています。
実際にやってみた話
以前、IT系の会社さんのオフィスリノベーションをご一緒したときのことです。最初のご要望は、ごく普通の内容でした。会議室がほしい、社員が働けるデスクの数を確保したい——という。
そこで私たちが提案したのが、効率的なデスクレイアウトはそのままに、一角に半円形の「コワーキングスペース」を取り入れることでした。丸みのあるベンチを置いて、仕事してもいい、休憩してもいい、食事してもいい——そういう空間です。
完成してみると、社員の方々がよく使ってくれているとのこと。「ちょっとしんどいから休む」「一緒にランチする」「ここで作業する」——いろんな使い方が生まれていました。
最初はご要望になかった空間が、今では日常的に使っていただいている——それを聞いたとき、提案してよかったと思いました。こういう反応をいただけるから、余白の提案をやめられないんですよね。
オフィスデザインという視点から
空間の配置——どこに何を置くか——が決まると、オフィス全体の雰囲気や動きがかなり変わります。
オフィスデザインとは、見た目を整えることではなく、「空間を意図的に設計すること」だと私たちは考えています。その意図の中に、効率の話もあれば、余白の話もある。どちらかだけでは、きっと物足りない空間になってしまうのかもしれません。
設計士さん・建築士さんが「空間として機能するオフィス」をつくってくださる。そこに私たちが「その会社らしさが育まれるオフィス」の視点を加える。この両輪があって、はじめて企業ブランディングを目的としたオフィスデザインになるのかなと思っています。
まとめると、こんなことを伝えたかった
ゾーニングは、効率的な空間設計と、「庭・縁側」のような余白の設計——その両方があってはじめて機能すると思っています。前者は建築・設計のプロが担い、後者は企業ブランディングの視点から私たちが加える。その組み合わせが、私たちのゾーニングの考え方です。
どんな業種でも、どんな広さでも、何かしらできることがあると思っています。まずは自社のオフィスの「間取り」を、もう一度眺めてみることから始まるのかもしれません。
空間には、その会社の「考え方」が宿る。
